気分障害の診断基準について(共通の言語を獲得するために)

 

 「客観的な診断基準」というのは言語みたいなものだと思います。国際的には必ずしも同じでなくても、他言語に翻訳できるものでなくてはなりません。また、共通言語圏内(医学界)ではある程度の期間は変わらない性質を持っていなければなりません。そうでなければ、研究・治療法の普遍性と普及、継続的な研究による成果、早期発見による効果、精神保健による予防効果を得られないのではないでしょうか?

 

ここでは世界の診療の現場で利用されているアメリカの診断基準である「DSM−W-TR(精神疾患の診断と統計の手引き)」の中から「エピソード」と診断基準についての説明を紹介します。もともとは精神疾患に関する統計調査を行うために作られた診断分類です。

 (WHOの国際疾病分類(ICD−10)については、国際的な統計作業を行うためにDSMを基本にしながらも、各国の集計作業ができるように作成されていると認識しています。そのために「神経症」が残されている。)

 

DSM−V(1980年)から「操作的診断基準」を採用しており、現在世界中で利用されているようです。これは、病気を原因ではなく症状に焦点をあてて分類するもので、「以下の基準の三つ(またはそれ以上)が過去12ヶ月の間に存在すること」などのように診断の基準が症状に基づいて非常に明確に具体的に示されています。

また、心理的・社会的側面からも診断をするように「多軸診断」が採用されています。

第一軸 臨床疾患、臨床的関与の対象となることがある他の状態

第二軸 人格障害、精神遅滞

第三軸 一般身体疾患

第四軸 心理社会的および環境的問題

第五軸 機能の全体的評定

 

これにより専門医以外の医師でも診断することが容易になり、治療のガイドライン的な役割も果たしています。 (ただし、この診断基準には批判もあります。) 日本の診療の現場ではこの診断基準と従来の診断名の両方を使用しているようです。

 

うつ病に関する一般書の中でもこうした状況(従来の診断名を使用している)を反映して、「うつ病」という表現で「気分障害」という病気の説明をしています。本来は「うつ病」というのは「単極性うつ病」を指しているのですが、現在では「双極性障害(躁うつ病)」(記述が非常に少ない)を含めて「気分障害」を説明しています。(以前は一般書では「気分障害」を「躁うつ病」と表現していました。)そのため、「気分障害」という言葉が広がりません。

この病気を「気分障害」として認識することは非常に重要であるにも関わらず、「うつ病」という表現を使うのは(恐らく個々の患者さんの回復を優先する考え方から「穏やかな表現」をしているのだと思いますが)結果的に適切ではないだろうと考えます。

患者さん本人や周囲の人間の中にある精神疾患への誤解、偏見、差別を放置して悪循環を定着させてしまうことが心配です。

 

もうすでに「気分障害」という題名で一般書が出ることが必要な状況だと思います。

 

付け加えるなら、「うつ状態」が症状として現れる問題行動・アディクション(精神科領域の疾患)まで説明して欲しいと思います。以前は「うつ状態」と「うつ病」とは区別して考えられていましたが、現在では連続性を持って考えられており、うつ状態が重篤になればうつ病としての治療が必要だと認識されています。他の疾患に起因するもの、薬剤の副作用として出現するものが記述されていながら、同じ精神科領域の対象でありながら記述されないというのは・・・精神科医療としてのあり方に疑問を感じます。

「患者さんを混乱させてしまう」という配慮は理解できるのですが、精神的エネルギーが回復してくることがその人の問題改善の前提、条件であることを思うと「療養を導く」という意味で必要ではないでしょうか。

 

 日本では医学書院より「DSM-W−TR精神疾患の診断・統計マニュアル」 19,000円として出版されています。縮刷版もあります。「DSM−W-TR 精神疾患の分類と診断の手引き」 3,800円です。これは統計部分を除いた診断基準のみとなっています。

 

ところで、診断基準を見て「これが自分にあてはまる」と解釈するのは勝手ですが、慎重にしなければならないので主治医とよく話し合ってください。(私自身の経験からも) 日本では精神科医は本人または診断書に診断名を「偽る?」ことが多いと言われています。日本社会に精神疾患に対する偏見・差別感が強いことが背景にあると思います。また、治療の現場で患者・家族に心理教育が「できない?」ことも影響していると思われます。患者自身が自分の病気について自覚して療養することは非常に重要だと思うのですが、残念な現実です。ただし、「病名にこだわらない」姿勢も必要です。当面する問題症状を改善することを積み重ねることが重要だと思います。(その意識を持続するためにも知識が必要です。)リラックスして、自分を楽にして療養しましょう。

 この診断基準を共通の「辞書」として患者同士が話し合える日が来ればいいなと思います。

 

 2003年7月に開催された「うつ病アカデミー」の中で、短い時間でしたが、診断基準についての発表がありましたが、これは他科(例えば内科)を受診した患者の中からいかにうつ病を確実に発見するかという観点での研究からのものでした。潜在する気分障害の患者を発見して治療に結び付ける、「早期発見・早期治療」のために確度の高い診断基準を作成することは、自殺予防という観点からもたしかに課題ですね。

 

「単極性うつ病」と「双極性障害」では使用する薬物が基本的に違います。「単極性うつ病」は「抗うつ薬」の使用が基本です。

「双極性障害」では基本的に「気分安定薬」と言われる薬物が使用されます。「躁病相」では状況により「抗精神病薬」が追加され、「うつ病相」では「抗うつ薬」が追加されて使用されることが多いようです。しかし、「双極性障害」の「うつ病相」期に「抗うつ薬」を漫然と使用することにより突然に「躁状態」が現れて(「躁転」)、結果的に治療困難性が生じる可能性があるそうですので注意してください。(ここに診断基準を記述する意義の一つと考えています。)

 

 大うつ病エピソード

A.  以下の症状のうち5つ(またはそれ以上)が同じ二週間の間に存在し、病前の機能からの変化をおこしている。これらの症状のうち少なくとも 

1つは、(1)抑うつ気分または (2)興味または喜びの喪失である。 (明らかに、一般身体疾患または気分に一致しない妄想または幻覚による症状は含まない。)

1.患者自身の言明(例えば悲しみまたは、空虚感を感じる)か、他者の観察(例えば涙を流しているように見える)によって示される、ほとんど一日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。(小児や青年ではいらいらした気分もありうる)

2.ほとんど一日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味、喜びの著しい減退(患者の言明または他者の観察によって示される)。

3.食事療法をしていないのに、著しい体重の減少、あるいは体重増加(例えば1ヶ月で体重の5%以上の変化)、またはほとんど毎日の食欲の減退または増加。(小児の場合、期待される体重増加がみられないことも考慮)

4.ほとんど毎日の不眠または睡眠過多。

5.ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止(他者によって観察可能で、ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主的感覚でないもの)。

6.ほとんど毎日の易疲労性、または気力の減退。

7.ほとんど毎日の無価値観、または過剰であるか不適切な罪責感(妄想的であることもある)。(単に自分をとがめたり、病気になったことに対する罪の意識ではない)

8.思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる(患者自身の言明による、または他者によって観察される)。

9.死についての反復思考(死の恐怖だけではない)、特別な計画はないが、反復的な自殺念慮、自殺企図、または自殺するためのはっきりした計画。

B.  症状は混合性エピソードの基準を満たさない。

C. 症状には著しい苦痛または社会的、職業的または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

D.  症状は物質(例:乱用薬物、投薬)の直接的な生理学的作用または一般身体疾患(例:甲状腺機能低下症)によるものではない。

E.  症状は死別反応ではうまく説明されない。すなわち愛する者を失った後、症状が2ヶ月をこえて続くか、または著明な機能不全、無価値観への病的なとらわれ、自殺念慮、精神病性の症状、精神運動制止があることで特徴づけられる。

 

 躁病エピソード

A.  気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的または易怒的な、いつもとは異なった期間が、少なくとも1週間持続する。(入院治療が必要な場合はいかなる期間でも良い)

B.  気分の障害の期間中、以下の症状のうち三つ(またはそれ以上)が持続しており(気分が単に易怒的な場合は4つ)、はっきりと認められる程度に存在している。

1.自尊心の肥大、または誇大。

2.睡眠欲求の減少(例えば、3時間眠っただけでよく休めたと感じる)。

3.普段よりも多弁であるか、しゃべり続けようとする心迫。

4.観念奔逸、またはいくつもの考えが競い合っているという主観的な体験。

5.注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないかまたは関係の無い外的刺激によって他に転じる。)。

6.目標志向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれか)の増加、または精神運動性の焦燥。

7.まずい結果になる可能性が高い快楽的活動に熱中すること(例えば、制御のきかない買い漁り、性的無分別、馬鹿げた商売への投資などに専念すること)。

C. 症状は混合性エピソードの基準を満たさない。

D.  気分の障害は、職業的機能や日常の社会活動または他者との人間関係に著しい障害を起こすほど、または自己または他者を傷つけるのを防ぐための入院が必要であるほど重篤であるか、または精神病性の特徴が存在する。

E.  症状は物質(乱用薬物、投薬、あるいは他の治療)の直接的な生理学的作用や一般身体疾患(例:甲状腺機能亢進症)によるものではない。

(身体的な抗うつ治療、例えば投薬、電気けいれん療法(注1)、光療法(注2)などによって明らかに引き起こされた躁病性のエピソードは双極性T型障害の診断とはしない)

 

 混合性エピソード

A.  少なくとも1週間の間ほとんど毎日、躁病エピソードの基準と大うつ病エピソードの基準を(期間を除いて)ともに満たす。

B.  気分の障害は、職業的機能や日常の社会的活動または他者との人間関係に著しい障害を起こすほど、あるいは自己または他者を傷つけるのを防ぐため入院が必要であるほど重篤であるか、または精神病性の特徴が存在する。

C. その症状は物質の直接的な生理学的作用(例:乱用薬物、投薬、または他の治療)、または一般身体疾患(例:甲状腺機能亢進症)によるものではない。(身体的な抗うつ治療例えば投薬、電気けいれん療法、光療法などによって明らかに引き起こされた混合性様のエピソードは、双極T型障害の診断とはしない。)

 

 軽躁病エピソード

A.  持続的に高揚した、開放的な、または易怒的な気分が、少なくとも4日間続くはっきりとした期間があり、それは抑うつのない通常の気分とは明らかに異なっている。

B.  気分の障害の期間中、以下の症状のうち3つ(またはそれ以上)が持続しており(気分が単に易怒的な場合は4つ)、はっきりと認められる程度に存在している。

1.自尊心の肥大、または誇大。

2.睡眠欲求の減少(例えば、3時間眠っただけでよく休めたと感じる)。

3.普段よりも多弁であるか、しゃべり続けようとする心迫。

4.観念奔逸、またはいくつもの考えが競い合っているという主観的な体験。

5.注意散漫(すなわち、注意があまりにも容易に、重要でないかまたは関係の無い外的刺激によって他に転じる。)。

6.目標志向性の活動(社会的、職場または学校内、性的のいずれか)の増加、または精神運動性の焦燥。

7.まずい結果になる可能性が高い快楽的活動に熱中すること(例えば、制御のきかない買い漁り、性的無分別、馬鹿げた商売への投資などに専念すること)。

C. エピソードには、症状のないときにはその人物に特徴的でない明確な機能変化が随伴する。

D.  気分の障害や機能の変化は、他者から観察可能である。

E.  エピソードは、社会的または職業的機能に著しい障害を起こすほど、または入院を必要とするほど重篤でなく、精神病性の特徴は存在しない。

F.  症状は物質(例:乱用薬物、投薬、または他の治療)の直接的な生理学的作用、または一般身体疾患(例:甲状腺機能亢進症)によるものではない。(身体的な治療、例えば投薬、電気けいれん療法、光療法などによって明らかに引き起こされた軽躁病様のエピソードは双極U型障害の診断とはしない。)

                                                                                   以上

 (注1:電気ショック療法とも言われます。恐ろしげな表現ですが、最近、再評価されている療法で、これから実施例が増えると思われます。現在では安全な実施法が確立されています。うつ病などの治療に用いられます。重症の場合、自殺衝動が強い場合、薬物治療が効かない(できない)場合などに利用されるようです。

注2:季節性うつ病の治療法です。冬の季節になると「うつ状態」になるという病気です。一定の時間、強い光を浴びるものです。)

 

 

うつ病性障害 Depressive Disorders

大うつ病性障害、単一エピソード

A 単一の大うつ病エピソードの存在。

B 分裂感情障害ではうまく説明されず、統合失調症(精神分裂病)、分裂病様障害、妄想性障害、または特定不能の精神病性障害には重なっていない。

C 躁病エピソード、混合性エピソード、または軽躁病エピソードが存在したことがない。

大うつ病性障害反復性

A 2回またはそれ以上の大うつ病エピソードの存在(別々のエピソードと見なすには、大うつ病エピソードの基準を満たさない期間が少なくとも2ヶ月連続して存在していることが必要。)

B 分裂感情障害ではうまく説明されず、統合失調症(精神分裂病)、分裂病様障害、妄想性障害、または特定不能の精神病性障害には重なっていない。

C 躁病エピソード、混合性エピソード、または軽躁病エピソードが存在したことがない。

気分変調性障害 Dysthymic Disorders

A 抑うつ気分がほとんど一日中存在し、それのない日よりもある日の方が多く、患者自身の言明または他者の観察によって示され、少な くとも2年間続く(小児や青年では気分はいらいら感であることもあり、期間は少なくとも1年間)

B 抑うつの間、以下のうち2つ(またはそれ以上)が存在

1.       食欲減退、または過食

2.       不眠、または過眠

3.       気力の低下、または疲労

4.       自尊心の低下

5.       集中力低下、または決断困難

6.       絶望感

   C この障害の2年の期間中(小児や青年は1年間)一度に2ヶ月を超える期間、基準AおよびBの症状がなかったことがない。

   D この障害の最初の2年間(小児や青年は1年間)大うつ病エピソードが存在したことがない。(気分変調性障害が発現する前に完全寛解しているならば、以前に大うつ病エピソードがあってもよい。さらに気分変調性障害の最初の2年間(小児や青年は1年間)の後、大うつ病性障害が重畳していることもあり、この場合は、大うつ病エピソードの基準を満たしていれば、両方の診断=二重うつ病)

   E 躁病エピソード、混合性エピソード、または軽躁病エピソードが存在したことがない。また、気分循環性障害の基準を満たしたこともない。

   F 障害は、統合失調症(精神分裂病)や妄想性障害のような慢性の精神病性障害の経過中にのみ起るものではない。

   G 症状は物質(例えば、乱用薬物、投薬)の直接的な生理学的作用や、一般身体疾患(例えば、甲状腺機能低下症)によるものではない。

   H 症状は臨床的に著しい苦痛または、社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。(発症が21歳未満であれば早発性、21歳以上であれば後発性)

特定不能のうつ病性障害

    抑うつ性の特徴を持つ疾患で、大うつ病性障害、気分変調性障害、適応障害、不安と抑うつ気分の混合を伴うものの基準を満たさないものが含まれる。例えば、(1)月経前不快気分障害、(2)小うつ病性障害=少なくとも2週間の抑うつ症状のエピソードがあるが、症状数が大うつ病性障害に要求されている5項目未満、(3)反復性短期うつ病性障害=すなわち持続が2日から2週間までのうつ病性エピソードで12ヶ月間少なくとも1ヶ月に1回生じているもの(月経周期に伴っていない)、(4)統合失調症(精神分裂病)の精神病後うつ病性障害、(5)妄想性障害、特定不能の精神病性障害または統合失調症(精神分裂病)の活動期に重畳する大うつ病エピソード、(6)うつ病性の疾患が存在するが、それが原発性か一般身体疾患によるものか、物質誘発性かを決定できない状態。

 

双極性障害 Bipolar Disorders

双極T型障害には別々の6組の基準がある。

双極T型障害、単一エピソードは

A 1回のみの躁病エピソードが存在し、以前に大うつ病エピソードが存在しない。

B 躁病エピソードは、分裂感情障害ではうまく説明されないし、統合失調症(精神分裂病)、分裂病様障害、妄想性障害または特定不能の精神病性障害に重畳したものではない。

    この単一エピソードは、躁病の初回のエピソードだけに用いる。

単一エピソード以外の双極T型障害は、反復性のもので、現在または最も新しいエピソードにより、最も新しいエピソードが軽躁病、躁病、混合性、うつ病、特定不能の5組に分かれる。

双極U型障害(軽躁病エピソードを伴う反復性大うつ病エピソード)

   A 1回またはそれ以上の大うつ病の存在(または既往歴)

   B 少なくとも1回の軽躁病エピソードの存在

   C 躁病エピソードまたは混合性エピソードが存在したことがない

   D 基準AとBの気分症状は、分裂感情障害ではうまく説明されないし、統合失調症(精神分裂病)、分裂病様障害、妄想性障害または特定不能の精神病性障害に重畳したものではない。

   E その症状は臨床的に著しい苦痛または、社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。(現在または最も新しいエピソードを軽躁病またはうつ病と特定する)

気分循環性障害 Cyclothymic Disorder

   A 少なくとも2年間にわたり、軽躁病症状を伴う多数の期間と、抑うつ症状を伴うが大うつ病エピソードの基準は満たさない多数の期間の存在(小児および青年期においては、期間中は少なくとも1年間)

   B 上記の期間中、一度に2ヶ月を超える期間、基準Aの症状がなかったことがない。

   C この障害の最初の2年間に大うつ病エピソード、躁病エピソード、または混合性エピソードが存在したことはない(気分循環性障害の最初の2年間(小児または青年の場合は1年間)の後で、躁病または混合性エピソードが重畳する場合は、双極T型障害と気分循環性障害の両方の診断がくだされる。また、大うつ病エピソードが重畳する場合、双極U型障害と気分循環性障害の両方の診断がくだされる。

以下省略。

 

 

「気分変調性障害」と「双極性U型障害」は分かりにくいので?診断が難しいと言われていますので、診断基準を紹介します。

 

気分変調性障害の診断基準

B.  抑うつ気分がほとんど一日中存在し、それのない日よりもある日の方が多く、患者自身の言明または他者の観察によって示され、少なくとも2年以上続いている。

C. 抑うつの間、以下のうち2つ(またはそれ以上)が存在すること。

1.       食欲減退、または過食

2.       不眠、または過眠

3.       気力の低下、または疲労

4.       自尊心の低下

5.       集中力低下、または決断困難

6.       絶望感

D.  この障害の2年間の期間中(小児や青年については1年間)、一度に2ヶ月を超える期間、基準AおよびBの症状がなかったことはない。

E.  この障害の最初の2年間は(小児や青年については1年間)、大うつ病エピソードが存在したことがない;すなわち、障害は慢性の大うつ病性障害または大うつ病性障害、部分寛解ではうまく説明されない。

F.  躁病エピソード、混合性エピソード、あるいは軽躁病エピソードがあったことはなく、また気分循環性障害の基準を満たしたこともない。

G. 障害は、統合失調症(精神分裂病)や妄想性障害のような慢性の精神病性障害の経過中にのみ起るものではない。

H.  症状は物質(例えば、乱用薬物、投薬)の直接的な生理学的作用や、一般身体疾患(例えば、甲状腺機能低下症)によるものではない。

I.     症状は臨床的に著しい苦痛または、社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

 

特定せよ

 早発性:発症が21歳未満である場合

 晩発製:発症が21歳以上である場合

 

双極U型障害(296.89)の診断基準

A.  1回またはそれ以上の大うつ病エピソードの存在(または既往歴)

B.  少なくとも1回の軽躁病エピソードの存在

C. 躁病エピソードまたは混合性エピソードが存在したことがない。

D.  基準AとBの気分症状は分裂感情障害ではうまく説明されないし、統合失調症(精神分裂病)、分裂病様障害、妄想性障害、または特定不能の精神病性障害に重畳するものではない。

E.  その症状は、臨床的に著しい苦痛または、社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

 

  現在または最も新しいエピソードを特定せよ。

    軽躁病:現在(または最も最近は)軽躁病エピソードにある場合

    うつ病:現在(または最も最近は)大うつ病エピソードにある場合

 

 特定せよ(現在または最も新しい大うつ病エピソードについて、それが気分エピソードの最も新しい病型である場合に限り)

    重症度/精神病性/寛解

 

 慢性

 緊張病性の特徴を伴うもの

 メランコリー型の特徴を伴うもの

 非定型の特徴を伴うもの

 産後の発症

 

 特定せよ

 縦断的経過の特定用語(エピソードの間欠期に回復を伴うものと伴わないもの)

 季節型(大うつ病エピソードの病型のみに適用される)

 急速交代型      

 以上

 

 

  WHO(世界保健機関)の国際疾病分類=「ICD−10」の気分障害の紹介

 F3  気分(感情)障害 mood(affective)disorders

   F30 躁病エピソード

    F30.0 軽躁病

    F30.1 精神症状をともなわない躁病

    F30.2 精神病症状をともなう躁病

    F30.8 他の躁病エピソード

    F30.9 躁病エピソード、特定不能のもの

  F31 双極性感情障害(躁うつ病)

    F31.0 現在軽躁病エピソード

    F31.1 現在精神病症状をともなわない躁病エピソード

    F31.2 現在精神病症状をともなう躁病エピソード

    F31.3 現在軽症あるいは中等症うつ病エピソード

       .30 身体症状をともなわないもの

       .31 身体症状をともなうもの

    F31.4 現在精神病症状をともなわない重症うつ病エピソード

    F31.5 現在精神病症状をともなう重症うつ病エピソード

    F31.6 現在混合性エピソード

    F31.7 現在寛解状態にあるもの

    F31.8 他の双極性感情障害

    F31.9 特定不能のもの

  F32 うつ病エピソード

    F32.0 軽症うつ病エピソード

       .00 身体症状をともなわないもの

.01 身体症状をともなうもの

    F32.1 中等症うつ病エピソード

.10 身体症状をともなわないもの

.11 身体症状をともなうもの

    F32.2 精神病症状をともなわない重症うつ病エピソード

    F32.3 精神病症状をともなう重症うつ病エピソード

    F32.8 他のうつ病エピソード

    F32.9 特定不能のもの

  F33 反復性うつ病性障害

    F33.0 現在軽症エピソード

       .00 身体症状をともなわないもの

       .01 身体症状をともなうもの

    F33.1 現在中等症エピソード

       .10 身体症状をともなわないもの

.11 身体症状をともなうもの

    F33.2 現在精神病症状をともなわない重症うつ病エピソード

    F33.3 現在精神病症状をともなう重症うつ病エピソード

    F33.4 現在寛解状態にあるもの

    F33.8 他の反復性うつ病性障害

    F33.9 特定不能のもの

  F34 持続性気分(感情)障害

    F34.0 気分循環症

    F34.1 気分変調症

    F34.8 他の持続性気分(感情)障害

    F34.9 特定不能のもの

  F38 他の気分(感情)障害

    F38.0 他の単一(単発性)気分(感情)障害

       .00 混合性感情性エピソード

    F38.1 他の反復性気分(感情)障害

       .10 反復性短期うつ病性障害

    F38.8 他の特定の気分(感情)障害

  F39 特定不能の気分(感情)障害

 

 F4 神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害

  F41.2 混合性不安抑うつ障害

  F43.2 適応障害

.20 短期抑うつ反応

.21 遷延性抑うつ反応

.22 混合性不安抑うつ反応

以上

 

(注:国の統計に3年ごとに行われる「患者調査」というものがあります。参考のために統計上の疾病分類を書いておきます。 

「精神及び行動の障害」 の項目の内訳は以下のとおり

・血管性及び詳細不明の痴呆

・アルコール使用<飲酒>による精神及び行動の障害

・その他の精神作用物質使用による精神及び行動の障害

・精神分裂病、分裂病型障害及び妄想性障害

・気分(感情)障害(躁うつ病を含む)

・神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害

・精神遅滞

・その他の精神及び行動の障害

以上です。神経系の疾患は入っていません。)

 

 

 

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